長期投資とはどのような投資なの?

株式の長期投資は、文字通り株を長期にわたって保有し、企業の成長により配当金や株主優待などの収益を安定的に得ることを目的とします。一方短期投資は日々の株価の値動きに着目して、売買を頻繁に繰り返すことで売買差益を得ます。
短期投資では、株式投資の技術が必要で常に株価と向き合うことが必要ですが、長期投資では良い銘柄を選定できれば日々の値動きに惑わされることはありません。したがって長期投資は、初心者でもできる投資法と言えるでしょう。

長期投資のメリット

長期投資は短期投資とは全く異なる投資法と言えますが、どのようなメリットがあるのか解説しましょう。

リスクコントロールしやすい

長期投資の最大のメリットは、リスクコントロールがしやすいということです。
短期投資は売買を頻繁に行うことで値ザヤを得ますが、安値で買って高値で売るタイミングは大変に難しいと言えます。底値と思って購入すると株価は下がり、もう少し下がってからと思っていると上昇することが往々にしてあります。株価の動きというものは、短期的には予測と反対の方向に動くことが多く、リスクは高いと考えておいた方が良いでしょう。
一方長期投資では、成長性があり業績の良い銘柄をしっかり選定すれば、株価は安定的に上昇する可能性が高いので、リスクは比較的低いと言えるでしょう。

じっくり投資できる

長期投資を行えば、毎日の株価に一喜一憂せず、じっくり投資できます。
デイトレなどの短期投資では、刻々と変動する株価に注目して売買を繰り返すので、気が休まることはありません。また海外の株価動向は、翌日の日本の株価に大きな影響を与えるので、外国で何か問題が発生した場合には、夜もおちおち眠れないこともあるでしょう。
しかし長期投資に徹すれば、刻々と変動する株価に一喜一憂することなく、精神的に落ち着いて株価を見ることができます。したがって本業がある人にとっては、始めやすい投資法と言えるでしょう。

複利効果を実感できる

株式投資を長期投資で運用すれば、元金だけでなく利子にも利子が付くので雪だるま式にお金を増やす複利効果が期待できます。
例を挙げて説明しましょう・
元金200万円を6%で10年間、単利及び複利で計算したのが下表です。

単位:円

元本運用収益単利合計運用収益複利合計
1年目2,000,00120,0002,120,000120,0002,120,000
2年目2,000,00240,0002,240,000247,2002,247,200
3年目2,000,00360,0002,360,000382,0322,382,032
4年目2,000,00480,0002,480,000524,9542,524,954
5年目2,000,00600,0002,600,000676,4512,676,451
6年目2,000,00720,0002,720,000837,0382,837,038
7年目2,000,00840,0002,840,0001,007,2613,007,261
8年目2,000,00960,0002,960,0001,187,6963,187,696
9年目2,000,001,080,0003,080,0001,378,9583,378,958
10年目2,000,001,200,0003,080,0001,581,6953,581,695

表を見てお分かりの通り、複利で運用した場合38万円もの利益差が生まれ、長期投資をすることで福利効果を実感できるでしょう。

長期投資のデメリット

長期投資は比較的リスクは低いので初心者に向いた投資法と言えますが、デメリットもあることを覚えておきましょう。

投資してもすぐには儲からない

短期投資は直ちに利益を出せる可能性がありますが、長期投資は直ぐには儲かりません。
長期投資は、企業の成長を想定して投資をするので、大きな利益を出すことは何年も先になるでしょう。

失敗の場合はコストと時間のロスが多大

長期投資では長いスパンで投資を行うので、結果が出るまでは時間を要します。
そのため失敗した場合は、投下した資産と時間を失うことになるので、悔やむこともあるでしょう。

将来の経済・政治の変化を予想することは難しい

成長性が高く業績の良い銘柄を選定しても、経済環境や政治情勢の思わぬ激変により企業経営が悪化する場合があります。
例えば、バブルの崩壊や同時多発テロ・リーマンショック・昨年の新型コロナなどで、企業経営が大きく落ち込むこともあり得ます。短期投資ならすぐに売り抜けられる状況でも、長期投資では企業が倒産に追い込まれるまで、投資をし続けざるを得ないこともあるでしょう。

長期投資で成功するポイント

それでは長期投資のメリットとデメリットを踏まえて、成功するポイントについて解説します。

リスク分散を行う

何の投資でも重要なことは、リスクの分散を行い、損失が生じてもできるだけ少なくしなければなりません。
リスク分散をする方法としては、国内外の株式や国内外の債券・REIT(不動産投信)などに分けて投資する資産分散、時間をずらして投資する時間分散、異なる地域に分散する地域分散などがあります。
株式投資では、一つの銘柄だけでなく幅広い銘柄に分散して投資することが重要です。例えば輸出関連株と内需関連株など、値動きの全く異なる株式に投資し損失リスクを低減させます。円高が進行している場合には、不動産や建設・電鉄・銀行株などの内需関連株が有利ですが、円安では自動車・機械・電気などの輸出関連株が値上がりします。したがって、複数の銘柄にバランスよく分散投資することで、損失を抑えることができます。

生活資金を投入しない

株式投資は生活資金を投入せず、余剰資金で行うようにしましょう。
いくら良い銘柄を見つけても、生活資金を投入するのは大変危険です。必ず利益を得られると思っていても、投資の世界では万が一のことが起こり得ます。生活資金迄投入した結果、住宅ローンの返済ができなくなりマイホームを失ってしまった、ということはよく聞く話です。したがって必要な資金は残し、株式投資は使う予定のない余剰資金で行わなければなりません

長期投資でも損切ルールは必要

短期投資においては、損失が大きくなる前に損切をすることは重要なことですが、長期投資においても損切が必要なこともあります。
長期投資は、一時的に業績が悪化し株価が下落しても、株式を持ち続け業績の回復と株価の上昇を待つというのが基本的な投資スタンスです。しかし、株価の回復が見込めないような大きな問題が発生した場合には、損切をして早めに損失を確定しなければなりません。
例えば2004年に大きく成長してきたライブドアの粉飾決算が発覚し、連日のストップ安で700円程度あった株価が150円程度まで急落し、上場廃止ということがありました。このような場合には早めに損切を行わなければ、塩漬け株を保有するだけとなります。したがって企業の存続が危ぶまれるような実態が発生した時には、初期段階で思い切って損切をすることが大事です。

まとめ

長期投資は比較的リスクが少ないので、初心者に向いた投資法といえますが、リスクは全くないとは言えません。

リスク分散を行って、成長性のある業績の良い銘柄に長期投資すれば、利益を得られる可能性は高いといえるでしょう。

しかし万が一のことを考えて、損切ルールも考えておきましょう。